プロモーション、人材採用、現場教育など、ビジネスにおける様々な場面で漫画を導入する企業は増えています。これまでであればプロの会社に制作を依頼するというのが一般的だったはずです。しかし、生成AIの進化が目覚ましい今、「プロンプト一つで漫画が作れるなら、わざわざ外注せずとも自社で完結できるのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか?
そこで今回は、ビジネス漫画における生成AI導入のメリット、デメリットやリスクについて考えたいと思います。まずはメリットから。
AIで漫画を生成するメリット
- 圧倒的な生成スピード
生成AIの魅力は何といっても画像を生成するまでの圧倒的なスピードです。プロンプトを入力してすぐに思い通りの漫画が生成できれば、制作会社に依頼するよりも何倍も速く漫画を完成させ運用することができます。SNSでの情報発信のように「リアルタイム感」や「数量」が求められる場面では、このスピードが大きな強みとなります。
- コスト削減
専門会社に依頼をすると、ディレクション、シナリオ、ネーム、作画といった各制作工程において専門家が稼働することになるため、一人の担当者が生成AIのみを使って生み出す漫画と比べれば当然コストがかかることになります。予算のかけられないプロジェクトにおいては、企業にとって大きな魅力と言えるでしょう。
- 専門スキルの補完
シナリオを考える、コマを割る、作画をするといった本来であれば専門のスキルやツールを必要とする作業を生成AIが担ってくれることで、誰もが漫画を簡単に生成できるようになりました。今までは不可能だったことが物理的に可能となったことで、自社で制作を完結できるのでは?という考えも現実的になったと言えるでしょう。
と、ここまでは生成AIのメリットを上げてみましたが、今度は逆にデメリットやリスクについても考えてみましょう。
AIで漫画を生成するデメリット・リスク
- 逆効率化
メリットの一つ目で上げたスピード感は、あくまで漫画を生成するのに要する時間であり、漫画のタッチ、キャラクター、コマ割り、表情や仕草、風景や時代背景などが思い通りに生成できるかはまた別の話です。また、イラストのような一枚絵とは違い、毎回違う画像を出力するAIにとっては漫画のような作品の中で一貫性を保つ必要のある表現は難しいとされています。修正を繰り返すことでかえって時間と労力が膨大にかかってしまうことも想像に難くありません。
- オリジナリティの欠如
AIが生成する漫画は、AIが学習した画像から「漫画とはこういうものだ」という平均的なパターンを抽出して描かれます。そのためどうしても「AIっぽさ」が感じられるものになりがちです。他社との差別化が大切なのにもかかわらず、逆に埋没してしまうという危険がひそんでいます。また、現状では「AIアレルギー」を持つ人も一定数おり、安易にAIを活用してしまうとマイナスのイメージを持たれる懸念があることも気に留めておくべきでしょう。
- 引継ぎや管理の難しさ
AIが生成した漫画には、制作過程のデータというものは存在しません。そのため、後になって変更や修正を加えたりすることが難しく、引継ぎや管理がしずらいと言えます。その点、制作会社に依頼すると制作データの管理までしてくれるところが多いので、必要な時に変更や修正を依頼するといったことが容易になります。長く活用したい場合、様々な媒体で活用したい場合には、細かなフォローをしてくれる専門の会社にお願いをするメリットが大きいでしょう。
- 著作権などの法的リスク
AIは学習したデータから漫画を生成するため、意図せず既存の作品と酷似したものが生成されるリスクがあります。利用者が元ネタを知らなくても、結果として「著作権侵害」をしてしまう可能性が否定できません。また、現行の法解釈ではAIが自動生成しただけのものには「著作権」が認められないケースが多いようです。これは、自社で生成した漫画を他社に無断転載されても、法的に守ることが難しいことを意味します。
まとめ
ビジネス漫画を活用するにあたって、生成AIを活用することはメリットもありますが、いくつかのデメリットやリスクもあることから、全面的に依存するにはまだややハードルが高そうです。もちろん使用するAI、プロンプトの精度、使い道にもよるので一概には言えませんが(このコラムを書いている現時点では)、シナリオの基となるアイデア出し、検討段階でのイメージ共有など、実制作の事前準備に導入するのがAIの有効な活用法と言えるでしょう。

